心で向き合って対等に接してくれた恩師

昔、私が専門学生時代の話です。

私は当時イラストの業界に興味があり、絵を専門とする学校へ通っていたのですが、私に才能があったとは到底思えず、挫折の繰り返しの日々でした。

当時の私の担任教師が私のような落ちこぼれにも、才能が本当に光る人にも分け隔てなく接する優しい先生でした。彼自身もプロの漫画家で活動する漫画家さんで学校の講師もしている人でした。

彼の信念は、来る者拒まず。
この専門学校の自分のクラスに入りたいと志願するすべての人を受け入れるというスタイルを貫いているような人でした。

当時でギリギリの生徒数だったと思うので、現在ではその信念も当然ながら貫けはしていないと思います。それが、普通なのです。しかし、才能は誰の中にでもあって、それを伸ばす環境とやる気があれば誰にでも夢は叶うのだと教えている人でした。

自分の努力が足りなかったのだと、今では思いますが、当時の私には周りの才能に圧倒されるばかりで、自分のイラストが恥ずかしく思え、業界へ自分を売り込む事も出来ずにいました。

そんな私にも目をかけてくださり、励まし続けてくれた先生なのですが、私は授業に出る事が経済的に厳しくなったことを理由に学校を辞める事になってしまったのです。

本当は半分、自分の才能の無さが明るみになるのが怖かったのです。自分には才能が無い、本気で努力して夢に向かう力もないことが分かってしまったので、自分から去って行ったのです。

しかし、その先生は最後まで私に優しい眼差しで見送ってくれました。

「悔いが少しでも残っているならどこででも、いつでも、どんな時でも描ける」

経済的な理由で退学するであろう無念の生徒への言葉が、私の胸をえぐりました。

結局、私は本当の退学の意思を伝えられないままに学校を後にすることになってしまいました。あんなに親身な先生にもっと早い段階で出会えていれば、もっと違った人生を歩んでいた、もしくは本当に夢に向かう努力が出来ていたのかもしれないと思います。

 

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